寿命という訳ではありませんが、スーツにも耐用年数があります。
“一生モノのスーツを本場イギリスで作る。”的な記事を見かけますが、着用する以上“一生モノ”は難しく、劣化は防げません。ただし、お手入れ次第でお気に入りのスーツを長く着ることが出来ます。その方法をお伝えします。
スーツを知る
まずスーツのことを知る。そこから方法が見えてきます。
素材を知る。
衣類の素材は、天然繊維と化学繊維に大別できます。
天然繊維・・・ウール・コットン・麻(リネン)など自然由来
化学繊維・・・ポリエステル・レーヨンなど科学的に組成したもの
またその混紡もあります。
天然繊維は、風合いがありカラダに馴染みやすいのですが、いわば生き物なので繊細で、適切なお手入れが必要です。
一方、科学繊維は丈夫ですが風合いに欠け、熱に弱い傾向があるので擦れると妙なテカリや毛羽立ちが発生します。
混紡は、その長短を併せ持っていますが、素材に合わせた気遣いとお手入れを加えることで耐用年数が変わってくるわけです。
毎日できるお手入れ
お風呂にはいるように、シャンプーするように。毎日のルーティンを心掛けるだけで“劣化”ではなく“風合い”に変わってきます。
同じスーツは毎日着ない。
着用頻度が高いと劣化は進みます。天然繊維は汗など湿気に弱いのでしっかり乾燥させる必要があります。化学繊維は同じ箇所が擦れるとテカリができやすくなります。
道具を揃える。
コロコロブラシ(粘着テープ)またはエチケットブラシで、表面についたホコリや花粉などを落としましょう。
繊維に入り込んだホコリや花粉には洋服用ブラシが理想的ですが、難しようであれば代用品または手ではたき出すようにしてもいいでしょう。
こうしたケアをすることで、思いがけないスーツの痛み(ひっかけなど)に気付くのです。
脱いだらハンガーにかける
スーツが休まるハンガーを揃えましょう。素材がしっかりとした、腰の強いものがスーツも安心します。ソファーに置く、また椅子の背にかけたままではスーツも休めません。
パンツハンガーを別途用意し、裾部分をつまんでおくと、自重である程度のシワが復活します。収納場所に合わせて選んでください。
ハンガーは同じものを揃えると、収納がキレイに見え楽しくなります。
気になったら、即実行自分でも出来るイージーケア
毎日は難しいことですが、週末のルーティンとして以下のことを加えてみましょう。スーツやジャケパンが長持ちするだけでなく、休み明けの印象が変わるはずです。
シワやテカリを修復する、アイロンやスチーマの使い方
シワ・テカリの原因は繊維が寝てしまったためです。起こしてあげればいいのです。
繊維は、特に天然繊維は湿気を含み、それが乾く行程で起き上がる特徴を持っています。スチームアイロンで湿気を与え、陰干ししておくとある程度修復できます。
上着の場合気にかけたいのは、背中から裾にかけて、肘やカフス部分でしょう。市販のスチーマを利用すると簡単です。
パンツのクリース(山線)をキレイに
パンツ(ズボン)のシワ、膝ぬけ、膝うらを気にする人は多いのですが、実はヒップ付近と股付近のシワが目につくという女性も多いのだとか。
アイロンを使う時に大切なのは温度です。低く設定して、ゆっくり時間をかけてシワを伸ばすことです。何時間も履いてついたシワなので、短時間では改善しません。
あて布をするとテカリ防止にもなります。
アイロンの順番は後ろ側から。裾からヒップ部分にかけてキレイなクリースが出来ると、前側もキレイに仕上がります。
シミや汚れを落とす
放っておくと落とせないばかりか、その原因が食べ物の場合は虫食いになる可能性さえ。素人では難しいことも多いのでクリーニング店に相談することをお勧めします。
濡れたら乾かす
衣類にはヒトの皮質などの有機物が付着しています。毎日のケアでも充分に落としきれていません。その状態に水分がつくと微生物が活性化しニオイのもとになります。しっかり乾燥させてから。
また水分は熱を伝えやすいので、擦れただけで繊維にダメージを与えます。シワやテカリの原因になるだけでなく、繊維自体がやけどし破れる可能性さえあります。
汗や気になるにおいは消去する
原因の多くは皮脂汚れです。衣類の消臭スプレーを利用します。自宅以外でもオフィスのロッカーなどに準備しておくと商談やミーティングの前に“シュッ”と。
また収納しているクローゼットの環境も大切です。適度な喚起と湿気取り、また炭を置いておくと消臭効果が期待できます。
クリーニングに出すタイミング
クリーニングに出すとキレイにはなりますが、薬剤による劣化も進みます。状態を見ながら適切な頻度でクリーニングすることが大切です。
その目安として。
雨に濡れたら即クリーニング
状態にもよりますが、雨で重くなるほどに濡れたのであれば早めにクリーニングに出しましょう。雨粒に含まれる汚れが衣類にダメージを与えます。また濡れた衣類は外気に漂う有害物質やウイルスなども引きつけてしまいます。
オンシーズンは?
衣替え時期にクリーニングを利用する方は多いでしょう。ではそれ以外はどのようなタイミングがいいでしょうか。暑い時期なら2~3週間に一度、それ以外の場合はひと月に一度程度と言われています。いずれも状態や環境を考慮して判断してください。
その他
自分には見えないシワやテカリほど、他人からは目につきます。それに気付くためにも“自分自身で手をかける”ことが大切になってきます。