こんにちは、ジーンズLover若松(再)です。
二回目ともなれば少しは慣れるかと期待しましたが、やはりネーミングがおダサいですね。
さて、前回のブログではYANUKのジーンズ(Women’s)を4モデル紹介させて頂きました。
今回はその生地やディテールを深堀りしてまいりますので、どうぞお付き合いくださいませ。
まずお伝えしたいのは、前回もチラリと記載しましたようにYANUKがL.Aのブランドだという事。
初めて知った時、私は「へえー、意外!」と感じた事を覚えています。
というのも、作りがアメリカっぽくないんですよね。緻密というか、しっかり作っていると言いますか。
(注∶決してアメリカ物を悪く言っているわけではございません。むしろ大好きです。ただ、私の思うアメリカ物は、良い意味でもっと大味なイメージなのです。)
それもそのはず、一部のアイテムを除いて生産は日本の岡山なのです。岡山は言わずと知れたデニムの聖地。生地に拘るデニムブランドは、国内外問わず殆どが岡山で生産されていると言っても過言ではありません。
そして、私のアンテナが一際ピコピコと動いたのは、色落ち加工を施したモデルのジーンズたち。
いわゆる何年も穿き込んだようなヒゲや縦落ち、アタリを作ってしまう加工です。
これは勿論加工機も使っているのですが、細かい箇所は完全に職人さんの手作業だと言い切らせてください。
一応裏は取りましたが、見るべき所を見ればすぐに判別がつくんですよ。
それは何処かと言いますと、サイドシームの部分。
インポートデニムの加工は、パンツを『型』に履かせて、前面をレーザーでバババーッ!ひっくり返して背面をバババーッ!という具合に行う事が多いと、ある筋から聞いています。
つまりサイドはぶつ切りになってしまう、言うなれば量産型ザク仕様。
その点、要所要所を職人の手作業で加工されたデニムはさしずめシャア専用ザクとでも言いましょうか。赤ならぬ青い彗星というわけでして、
前後の継ぎ目も違和感なくヒゲ彗星が流れています。
位置も自然で、まるで10年選手の貫禄。
そして、裾の仕上げは勿論
チェーンステッチです。
因みにチェーンステッチとは、その名の通り鎖のように見える縫製の事。
1930年代中頃から1980年代中頃まで使われていたと認識しています。その後はシングルステッチに移行するわけですが、ヴィンテージに敬意を評しているブランドは、敢えて当時の仕様を再現する為にチェーンミシンを使うというわけです。
で、シングルステッチとの違いはなんなのよ?という事になるのですが、見た目の差だけでなくアタリの出方がまるで別物。
シングルステッチは直線的にアタリが出るのに対して、チェーンステッチは捻れたアタリが出ます。これは針が斜めから入るチェーンミシンの特徴と、縫い目に遊びがあるため生地に微妙なうねりが生じるからなのですが、この歪さが何とも言えず愛おしいのであります。
さて、なかなか男気溢れるYANUKの一面をお伝えしてきましたが、YANUKがスゴいのはそれだけでなく、あくまで快適且つ女性らしく綺麗に履けるジーンズを作り上げているという事。
その理由の一つは、前回モデル毎にご紹介したシルエットの妙があります。
そしてもう一つは快適さを実現するストレッチ性でありますが、実はこれが中々の曲者。
A「いや実はここね、そのー、、、出るんですよ」
B「出るって何が?言っとくけど、あたいはオカルトの類は信じちゃあいないぜ!」
A「いや、まあ、、、幽霊とかならまだ良かったんですが、、、」
B「じゃあ何だっていうんだい?ハッキリ言いなさいよっ!」
A「、、、膝」
B「ギャーーーーーっ!!」
皆様、ストレッチパンツの生地が伸びきって膝が抜けてしまった経験はございませんでしょうか?
これは生地の特性上、あまりタイトに着用してしまうと起こりやすいのですが、もう一つは生地のオンスが大きく関係してきます。
オンスとは重さの単位で、1オンスが28.35g。
「このジーンズは○オンスです」といったフレーズを、どこかで一度は聞いたり読んだりした事があるのではないでしょうか?
重さで言われてもピンとこないかもしれませんが、基本的にオンスの軽いジーンズは生地が薄く、重いジーンズは生地が分厚いと考えていただければ、感覚として受け入れやすいかと。
それで何をお伝えしたいのかと言いますと、YANUKは膝抜けが起こりにくく、且つ履き心地を損なわない夢見心地なオンスのジーンズを展開しているという事なのです。
10オンス以下のデニムはライトオンスデニムと言われていて、例えば6や8オンス生地のストレッチジーンズをタイトに履くと、アイツが飛び出し坊やになってしまいがちなのですが(個人的にライトオンスデニムはシャツとしての着用か、ゆったりとしたシルエットのパンツがお薦めです)、反対に15オンス以上になってくると無骨な格好良さと引き換えに、軽やかな印象は損なわれてしまいます。
因みに20オンスに近づくと、もはや魁!男塾の世界でして、履かずともジーンズが勝手に自立するというイリュージョンが起こり、涙と拍手が止まりません(私は履けませんが、履いている人の心意気は好きです)。
では、イタルスタイルで取り扱いのあるYANUKのジーンズはどうなのかと申しますと、モデルにもよりますが約11オンスです。
そしてこれくらいのオンスが丁度良いのでありまして、軽やかな履き心地とヴィンテージ然とした面構え、そして膝抜けが起こりにくい強度を兼ね備えたまさにベストオンス!イェー!!
申し訳ございません、取り乱しました。
余談ではありますが(今更どの口が)、アメリカのヴィンテージデニムとYANUKの関係性って、「Daydream Believer」と似ているなと思うのです。
アメリカのバンドであるThe Monkeysの代表曲で、後にTHE TIMERSがカバーしたあの名曲の事。
清志郎さん(タイマーズでの設定は、忌野清志郎に似たZERRYという名の別人)のカバーって、単純に模すわけではなく、乱暴なアレンジで世界観を壊してしまうのでもなく、
「原曲の意味や想いを解釈し、それを自分の言葉にして(日本語詞については色々憶測がありますが)想いを添えている」と、私は感じています。RCサクセションの問題作「カバーズ」に収録されたimagineもそうでしたが、曲に対しての愛が演奏と歌に溢れ出ていて大好きなのです。
YANUKも同様に、ヴィンテージの単なるレプリカではなく、ブランドとしての解釈に現在の空気感と提案を、そして愛を込めて発信しているんだぜBaby!
「イェー!」
「イェー!」
「イェーって言えー!!」
なんだか清志郎さんの声が聴きたくなって、YANUKもどうにかして自分で着用できるアイテムが何か欲しくなってしまいました。
皆様も同じ気持ちである事を祈りつつ、エンディング曲を流したいと思います。
「Cheer up Sleepy Jean(s) Oh what can it mean.
僕はdaydream believer そんで 彼女はクイーン」
なんつって。
長々と失礼いたしましたが、最後までお読みくださりありがとうございました。
この後はぜひデイ・ドリーム・ビリーバーを口ずさみながら、皆様にピッタリのYANUKをお探しくださいませ。
それではまた。
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