ON×OFF シームレスに使えるタッセルローファー
先ずCrockett&Jones (クロケット&ジョーンズ)を眺めて感じるのは、
いい意味での“普通さ”加減ではないかと思うのです。
150年以上の歴史あり、イギリス靴の聖地ノーザンプトンで誕生したブランドです。職人を多く抱え、昔ながらの製法を実直に守り続ける保守的な姿勢が、先のような印象を発しているのかも知れません。
しかしマーケティング的には非常に積極的で、様々なブランドのOEMや別注品を受注することで業績を伸ばしてきました。そこで新たな製法やスキルを取得し進化し続けるブランドとも言えます。
イギリスらしい保守的な一面と、新しいものに挑戦する積極性が揺るぎない“普通さ”を支えているようです。
世界一多くの木型を持っている
Crockett&Jones (クロケット&ジョーンズ)は世界一多くの木型を持っているブランドだと言われています。それは前述の通りOEM製造や別注品を受ける度に増えていったからです。各ブランドやショップの要望をかなえるためには、オリジナルを元に新しい木型を削りだす必要があります。そうして多くの木型が蓄積されえていったのです。
他にも、多くの映画やショーに商品提供もしています。有名なのところではダニエル・クレイグが主役を務める映画“007シリーズ”です。シリーズによってJohn Lobb (ジョンロブ)と使う分けているようですが、多くのシーンでCrockett&Jones (クロケット&ジョーズ)のホールカットやチャッカブーツが登場します。
日本のマーケットにも浸透していますので、初めて体験する英国靴がCrockett&Jones (クロケット&ジョーンズ) だったという人も少なくないようです。
CAVENDISH 3とは?
そんな日本でも馴染み深いCrockett&Jones (クロケット&ジョーンズ)の中でも、使い勝手がよくタイトルにもあるようにON×OFFにも使えるものとしてCAVENDISH 3 (キャベンディッシュ 3)を取り上げます。
多くの方はストレートチップをONで、ローファをOFFの主役として、それぞれ1足は所有していると思います。
その次の候補を検討するなら、ぜひCAVENDISH 3 (キャベンディッシュ 3)に代表されるタッセルローファーを候補にされることをお勧めします。
さてタッセルローファーとはどういうモノなのか?次の項目ではタッセルローファーの誕生と関わったブランド、さらにコーディネイトについてお伝えしていきます。
タッセルローファーはアメリカ生まれ?
タッセルつまり房飾りのことですが、このタッセルが甲部分にレイアウトされたモデルがタッセルローファーです。多くのブランドにラインアップされていて、リボンタッセルと呼ぶこともあるほど、やや女性的な色っぽさを備えたデザインです。
そうしたイメージからヨーロッパ生まれと思われがちですが、意外な事にアメリカではじめて製品化されたものなのです。しかも関わったのは、かのAlden (オールデン)でした。
依頼したのはハリウッドスターのポール・ルーカスでした。彼がヨーロッパで見かけた靴をモチーフに作らせたものだと言われています。
独特のデザインと履きやすさから1950年代になると、アメリカ東海岸学生、つまりアイビーリーガースに浸透していきます。彼らは週末の礼拝に出席するとき、またデートでドレスアップする時に好んで履くようになったのです。彼等は卒業後にウォール街のバンカーや弁護士になっても、学生気分を共有するためにタッセルローファーを履くようになったそうです。
メンズファッションにはルールがあるので、本来スーツには紐靴をコーディネイトするのが王道です。しかし、そこを理解したうえで、またそうした装いも体得しているという前提で、タッセルローファーを使ったコーディネイトの幅を広げてみましょう。
ON的コーディネイト 黒で攻める ブラウンで引く
スーツにタッセルローファーはアリか、ナシか。ルール的にはローファーとスーツの組み合わせはナシです。しかし正式な場でなければ、タッセルローファーであればという空気は広がっています。ネイビーやチャコールのスーツに黒のタッセルローファーを組み合わせれば、スーツの持つ緊張感を緩和する役割があります。そして許されるならソックスに色を加えると、さらにユルさが生まれます。スーツをノーネクタイで使う場合など、頼もしい相棒になってくれるはずです。
ジャケパンスタイルには問題なくハマります。しかしその場合は色と素材を考えてください。ネイビージャケットにグレーパンツ、パンツの色が濃いならば黒、薄い場合はブラウンがイイいでしょう。スウェードのブラウンを持ってくると、より若々しい印象になります。
ここでもソックス遊びで個性が作れます。
OFF的コーディネイト まじめな黒 艶っぽいブラウン
細身のチノやデニムならキレイに映ります。そのままジャケットを羽織れば、オフィスカジュアルが完成します。シャツやソックスで遊びを加えればデートや食事でも対応可でしょう。そして程よいダメージが入ったデニムも相性よくハマります。
まとめ
Crockett&Jones (クロケットアンドジョーンズ)が醸す“普通”の魅力、それを支える職人気質について触れながら、タッセルローファーのCAVENDISH 3 (キャベンディッシュ 3)のコーディネイトなどをまとめてみました。
基本的にはONには黒、OFFではスエードのブラウンが活躍しますが、時折入れ替えてみるち新鮮ですよ。