ITAL STYLE

【MEN'S】 2019年秋冬のスーツトレンド

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日本でも長年続いたスーツのタイト化、カジュアル化の流れ(これは機能素材のセット アップなどが主流となりつつある現在も継続していると言える)から、2016年頃を境に サイズフィッティングが徐々に緩くなり、ラペルが太く、パンツもプリーツのあるものに なっていくような、クラシック回帰の流れが一層加速していった印象です。

フィレンツェで開催される世界的なメンズクロージングの展示会Pitti Uomo2016年、 著名なファッショニスタでさえも、上着はワイドラペルのダブルで非常にクラシック。 ただ、当時はまだノープリーツのパンツを履いていることから、丁度過渡期を感じさせます。 また、同時に著名な服飾評論家、落合正勝氏の提唱したクラシコイタリア礼讃からの クラシコブーム、イタリア人のスナップ特集で人気のあった雑誌が象徴するように イタリアファッションがもてはやされた2000年代を経て、現在はイタリア色の強すぎる スタイリングは古さを感じさせる状況となっています。

では2019年の現在、どのようなスタイルが現代的(モダン)と言えるのか? 先ずはクラシック回帰と同時進行的な英国調の流れが挙げられます。 特に秋冬シーズンは生地使いで英国調を表現しやすいので、イタリアの各メーカーからも多く英国調の流れは提案されており、FERLAに代表されるようなポリアミドを混紡した ブークレ素材の提案が目に見えて少なくなり、ガンクラブやハウンドトゥース、ブラック ウォッチにタータンチェックなどの生地をコレクションに組み込んでいました。


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左の画像は、2019年1月に同じくPittiで撮影した英国のタイブランド(現在は トータルアイテムを展開)のものですが、こちらのブランドも、ジャケットやスーツには 英国生地を多用し、縫製はイタリアの有名なファクトリーに生産を依頼しています。 そもそもイタリアブランドやイタリアのサルトリアは英国生地を好んで使用しますが、 特に現在は英国生地のイタリア仕立てというものが大きな傾向であると言えます。 例えばイギリスを代表する生地メーカー、フランネルで有名なFox Brothers社の現当主 ダグラス・コルドー氏は、その洒脱なスタイリングでも注目される業界人の1人ですが、 自身のブランドのフランネル生地を使用してナポリのサルトリアで仕立てたスーツを 着ていることがあります。

これはあくまで今の傾向が英国調であり、英国スタイルそのままではないということ、 また、前述したようにイタリア色の強すぎるものが古さを感じさせるように、国毎の特性にとらわれず、自由にテイストをミックスしてスタイリングを楽しむことが現代的である ことを象徴しているエピソードの一つであると思います。

そして、次に冒頭に述べたクラシック回帰の流れ。 適度に余裕のあるフィッティング、ジャケットでは太めのラペルや一時期のことを考えると長くなっている着丈、襟付きのベストのスリーピース、パンツでは深い股上に、タック量を多くとったプリーツ、長めの持ち出しやベルトレスのサイドアジャスターのものなど サルトリアテイストのものが主流となっており、その為、ダブルブレステッドやシングルのピークドラペルのスーツなども多く見られます。 イタルスタイルでも今年から全ての既成品のスーツの組下をプリーツありにしていますが、明らかに以前と比較してプリーツのパンツに抵抗のある方は少なくなっていて、オーダーでもプリーツありを選択する方が多くなってきたという印象です。

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こちらの画像も前と同じタイミングでのPittiのもの。 ナポリのブランドですが、このブランドも元々はシャツが有名で、現在はトータルアイテムを展開をしています。彼らのブースのこれがメインの打ち出しのトルソーでした。 サルトリアテイストの強いワイドのシングルピークのスーツで、ナポリらしい袖付けに 絞られたウエストシェイプ。見えていませんが、パンツはインプリーツでサイド アジャスター付きのベルトレスでした。

ここで注目したいのが、彼らの得意とするシャツの襟型です。このブランドなどは特に ワイドカラーのイメージが強かったのですが、羽根襟の短めのレギュラーカラー。 色も今年のトレンドを抑えた薄いブラウンに幅広のストライプタイを合わせています。 非常に2019年らしいスーツスタイルだと印象に残ったスタイリングです。

前述したシャツのカラーようにトレンドを語る際に大きな要素となるのが「色」です。 ドレスクロージングの2019年の傾向としては、長らく継続したネイビーがメインの 打ち出しからグレーにシフトしてきており、これはスタイリングにも関係していて、例えばグレーのフランネルのスーツにホワイトのオックスフォードのシャツ、ブラックベースの小紋タイのような、決してモードではない、モノトーンの打ち出しが出てきています。

また、モノトーンのスタイリングにイエローやレッド、テラコッタ(レンガ色)のような 鮮やかなカラーを指すスタイリングもとても新鮮で今年らしいと言えるでしょう。 昨年から引き続き、ブラウンも注目のカラー。元々定番色で、コットン素材などでは 多く見られた色ではありますが、ウールのスーツに関しても一気に認知されてきた印象 です。特にダークブラウンは、控えめな色ながら、ネイビーとグレーがおよそ95%以上を占めると思われる日本のビジネスウエアに於いて、新鮮且つ取り入れやすいカラーだと言えます。

スーツは着こなしに於いて、ルールのあるものであることは間違いありませんが、その ルールの中で、相手にも配慮して自分らしさ、時代性を出すことを考えるのもスーツを着る楽しさであると思います。

イタルスタイルでも今年らしさを取り入れたスーツを多数展開中です。 あなたらしく今を着飾ってみてはいかがでしょうか?

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